大島紬の製作工程PRODUCTION PROCESS

数多くの工程を
職人の技と思いでつないでいく

大島紬は、たくさんの人の手と長い時間をかけて生み出されます。
その工程は、大きく分けると30以上の工程があり、
半年から一年という長い時間をかけて、一反の織物が完成します。
デザインの原画を描く、絣締めをする、テーチ木で染める…。
それぞれの工程には、その分野に精通した専門の職人がいて、
自分の担当する工程を仕上げ、次の工程、次の工程へと渡していきます。まさに、大島紬は職人のチームワークの結晶。
美しく織り上がった一反には、たくさんの人の手技と思いが込められているのです。


制作工程表
1. 企画・プランニング

プランニングは、伝統と新感覚がキーワード。大島紬のゆるぎない伝統美を大切に守りながらも、現代のトレンドを意識し、時代を先取りする自由な感性で、新しく魅力あふれる製品の企画をしていきます。

2. デザイン・原画

プランニングに基づき、デザインの原図と呼ばれるものを書き起こします。ここでは、形や色調などのイメージを描く作業が行われます。出来上がりをシミュレーションするための工程です。

デザイン・原画
3. デザイン・絣設計図案

原図に基づき、織密度に合わせた専用の方眼紙に設計図を起こします。大島紬の製造工程を熟知した職人が技法を駆使して仕上げます。緻密で根気のいる作業です。従来は手作業でしたが、近年デジタル化されています。

4. 糸設計

専用の方眼紙に書き起こされた絣の設計図に基づき、織り上がりの風合い、密度(マルキ数)などを考慮しながら、糸をどんな種類のものにするか、糸の量はどのくらい必要かなど、糸に関する設計を行います。

5. 整経(せいけい)ハエバタ

整経は、長さがバラバラな絹糸が絣加工でもつれたり順番を間違えたりしないように、たて糸の長さと本数を整える工程です。ハエバタと呼ばれる整経台で、糸設計に基づいて作業が行われます。

6. 糊張り

整経した糸を同じ模様になる糸を束ねて糊付けして固着させ、糸束同士が付着しないように、また、糸束の張力が一定になるように乾燥させます。糊剤は一般的には海藻のイギスを煮沸溶解したものなどを使用します。

7. 絣締かすりじめ( 一度目の織り)

図案に沿って、紋様部分を固く織り込む作業で、一度目の織りとも言われます。たて糸の綿糸で絣になる絹糸を織り締めして防染し、染まらないようにします。固く織り込むため、締機の作業は強い力が必要です。

7. 絣締( 一度目の織り)
8. 染色

織り締めされた絣糸の束や地糸を染める工程です。伝統技法のシックな泥染めから、藍染め、やまももなどの植物染色、色調のバリエーション豊富な合成染料染めまで、多様な色合いに染め上げられます。

>8. 染色(彩色染め)

彩色染め▶

>8. 染色(泥染め)

泥染め▶

9. 絣部分解き・目破めやぶり

織りに入る前に、染め上がった糸の加工を行います。織り締めしている綿糸を切って、絣を露出させる目破り(めやぶり)という作業を行います。部分色差しのため、部分的に糸を解くため、部分解きといわれます。

10. すり込み染・色差し

部分解きした絣に、図案に基づいて、染料を刷り込んでいきます。多色入り大島紬などの染色で行われるこの作業は、摺込捺染法と呼ばれ、竹製や金属製のヘラ、針、スポイトなどの道具が使われます。

10. すり込み染・色差し
11. 絣全解・バラサキ

染色(色差し)が終わった織り締めされた絣糸のすべての綿糸を取り除く作業を絣全解、またはバラサキ(バラ裂き)と言います。織られた状態のものを再び糸にしていく工程となります。

12. 仕上げ糊張り

色止め処理や水洗い後、糸の保護のために糊張り。糊付けした絣糸を順番に一種類ずつ、同一模様の糸束がほぐれるように、また、張力を一定にして、一疋(ひき)分ずつ糊張り台に張ります。疋は着物二反分の長さです。

13. たて絣糸配列・疋分ひきわ

糊張り、乾燥させた後、一疋ずつ手繰りしたたて絣糸を、図案に合わせて配列します。これをたて絣糸配列と言います。また、一機(ひとはた)分ずつに分けることを疋(ひき)分けと言います。

14. たて絣板巻き

織りの作業中にタテ絣糸がもつれないように、模様の順番に配列したたて絣糸を、幅をそろえながら板に巻き込みます。筬(おさ)と呼ばれるたて糸を整える道具を使い、丁寧に巻き込んでいきます。

15. 機掛け

たて絣糸、たて地糸、よこ絣糸、よこ地糸、それぞれの準備工程を終えた糸が織りの職人へと渡されます。最初に、織機(おりばた)に、機掛け(旗賭け)と呼ばれる、たて糸をセットする準備作業を行います。

16. 本織り

本織、二度目の織りとも言われる作業。設計図に沿って織り機に糸を配列。先染めしたたて糸とよこ糸を一本一本、模様を合わせて図案通りの柄になるように織り上げる気の遠くなるような作業です。熟練の技の結晶です。

16. 本織り
17. 製品審査

織り上がった大島紬は、本場大島紬織物協同組合の検査場で、厳正な検査を受けます。長さ、絣の仕上がり、色合いなど20項目の検査を経て、合格、不合格の判定が旗印商標に明記されます。

17. 製品審査

本場大島紬の旗印商標

大島紬登録商標

旗印商標は商品の品質を証明するもので、
購入される
消費者の方々との安心と信頼を高めています。